Wind River Blog Network 翻訳版
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November 10, 2016

インダストリアルIoTにおけるソフトウェア定義型インフラストラクチャ(SDI)の役割


投稿者:Gareth Noyes

前回の私のブログでは、SDIアプローチによって、インダストリアルオートメーションにおいてデジタルトランスフォーメーションを進展・加速させるという考え方を紹介しました。SDIアプローチでは、柔軟性、適応性、コスト効率に優れた方法で、インダストリアルIoT(IIoT)を活用したオートメーションシステムを開発できるようになります。従来の単一ベンダによる独自オートメーションソリューションとは異なり、オープンなSDIプラットフォームでは、複数ベンダのCOTSコンポネント間の相互運用性が高まるため、ユーザの選択肢が広がり、柔軟性も向上します。また、システムのアップグレードや機能の追加が容易になるため、変化する市場の需要に対応できます。こうしたメリットはすべて、独自システムよりも低い初期費用・維持費用で実現します。

SDIアプローチがインダストリアルオートメーションアプリケーションでどのように機能するのか、詳しく見ていきましょう。エンタープライズシステムと生産管理システムを統合する規格である、国際計測制御学会のISA-95モデルは、下図1のように4つのレベルで構成されています。レベル1~3はオペレーション・制御機能を、レベル4はエンタープライズレベルのビジネスプランニングおよびロジスティクス層を表しています。オートメーションにおけるSDIでは、レベル1~3の大半の機能が、インダストリアル環境のリアルタイム性能の要件を満たせるCOTSサーバで実行できることが前提になっています。


図1

具体的には、図2に示されているように、レベル1~3のソフトウェアベースのデジタルコントローラ、PLC/DCS、SCADAソフトウェア、HMI、プロセスヒストリアン、およびアプリケーションは、インダストリアルSDIで実行可能です。サーバは分散制御ノードを介して、センサーやアクチュエータなどの物理的なインダストリアルデバイスと接続します。


図2

従来のITデータセンターの設置とは異なり、SDIではデータセンターを「インダストリアルグレード」にして、高可用性、リアルタイムのディターミニズム、ライフサイクル管理、ヒットレスアップグレードといったインダストリアル分野の要件を満たしつつ、ITベースのアプローチによる設備投資コストと運用コストのメリットをもたらします。

SDIには、専用の独自ソリューションと比べると、数多くのコスト削減のメリットがあります。少量生産のカスタムコンピューティングプラットフォームの代わりに、大量生産のCOTSサーバを少数使用することで、ハードウェアの設備投資コストを削減できます。こうしたサーバの管理は、多数の独自デバイスを管理するよりも容易であるため、運用コストの削減につながります。またSDIでは、メンテナンスのために手元に置いておく必要がある独自機器の数や、多数の独自のコンポネントについてスタッフにトレーニングやサポートを行うコストが大幅に減るため、ロジスティクス部門の設備投資コストや運用コストも大幅に減少します。

SDIアプローチは、取り扱うワイヤ、ケーブル、システムの数が少ないので、接続関連のコストも最小限に抑えられるため、少ない労力で拡張・拡大が可能です。またSDIソリューションは、制御対象のインダストリアル機器の近くで、場所をあまり取らないというメリットもあります。

SDIベースのシステムはその性質上、従来のシステムほどフィールドサービスのサポートを必要としません。IIoT環境では、オペレータがSDIシステムをリモートからリアルタイムで監視、診断、更新できるため、エンジニアの配備が不要になり、運用コストをさらに削減できます。現場で障害が発生したら、高可用性システムのフェイルオーバーメカニズムによって、保守要員の緊急派遣の必要性が減ります。

最後に、SDIの導入によって、システムの陳腐化を防ぐコストを削減できます。基盤ハードウェアからソフトウェアに実装される機能とソフトウェアプラットフォームを分離することで、期待されるサービス継続期間にわたり、システムを容易にアップデートできます。

そのコストメリットと優れた柔軟性、技術的イノベーションへの対応の容易さを考え合わせると、SDIがインダストリアルオートメーションの次なる潮流であるという説には、大きな説得力があります。今後のブログでは、こうしたメリットを実現するためにSDIアプローチには何が必要かを検討します。それまでは、ウインドリバーのマイクロサイトで、詳細をご覧ください。https://www.windriver.com/iiot/

出典

図1:https://www.isa.org/standards-and-publications/isa-publications/intech-magazine/2007/march/channel-chat-iec-62264-and-isa-95-enterprise-control-system-integration
図2:ロッキード・マーティン/エクソンモービル「Next Generation Open Automation System(次世代のオープンオートメーションシステム)」Industry Dayのプレゼンテーション、2016年1月26日